銀河ヒッチハイク・ガイド

昨晩やっと「銀河ヒッチハイク・ガイド」を観てきた。実は一週間前に見ようと思って六本木ヒルズの指定券をネットで買ってあったのだが、仕事がどうしても終わらなくて1,800円無駄にしたので、今回は二度目の挑戦。金曜夜8:30の回だったが、客の入りは6割くらい。若い男性が多いのはまあ当たり前だが、自分も含めネクタイを締めた中年男性がそれなりにいた。オールドSFファンか?

50前くらいの男性と、わりと若めの女性のカップルというのが結構いた。ひょっとして中年のSFファンというのはもてるのか? そうなのか? 職場でカミングアウトすべきなのか? ちなみにこのおじさんは終了後にヴォゴン人の人形をデジカメで撮っていました(ちなみに自分は開演前に携帯で撮った)。

そんなことはどうでも良いので「銀河ヒッチハイク・ガイド」だが、ちょっと判断に迷う内容。面白くなくもないんだけども、爆笑するところまで自分をハイに持っていけない、ちょっともどかしい感覚を最後までぬぐいきれなかった。もっと若ければ笑えたのかも。原作の方も、先日河出版を読み直してみたものの、20年前に新潮版を読んだ時に比べると、どうしても素直に楽しめない。ひょっとしてモンティ・パイソンとかも今観ると面白くないのかも。

昔読んですごく面白かったSFとかを数十年ぶりに読んでみると結構がっかりするもので、そういう時は年をとるのがちょっとさみしいと感じたりする。でも中には何回読み返しても面白く思える作品も当然あり、そういった意味でも「新しい太陽の書」というのは自分にとって貴重な作品だ。

映画の話に戻ると、ヴォゴン星とかのオリジナル・エピソードは別として比較的に原作に忠実に作られてはいるものの、小説ならではの(もともとはラジオドラマなわけだが)枝葉末節にこだわったジョークというのは、なかなか映画というフォーマットでは出しにくい。例えば最初にアーサーの家が壊されるシーンでも、小説で(少なくとも自分が)面白いと感じるのは、ミスター・プロッサーの先祖の記憶とか、組合との関係とかいった微妙な細部なわけで、そういったものを2時間弱の映画で描けるわけもない。

もちろん、地球を造る場面とか、最初のイルカの場面とか映像的に表現して面白い場面はあるけども、原作を知らずにこの映画を観た人が楽しめるかというと疑問だし、原作のファンにとっても(まあしょうがないけれども)あまり満足のいく出来栄えでもないように思う。まあ「指輪物語」の映画化というほどのものでもないんだから、そこそこ楽しめれば良い作品だとは言える。ところでマーヴィンは駄目、かわいらしすぎる。もっと人をうんざりさせるようなキャラにしないと。