書物としての新約聖書

田川建三著の有名な本。前から読みたいとは思っていたものの、なにぶん高価で分厚い本なので、オンライン通販ではなく現物を見てから、と思っていたところ、会社の近くの本屋にあるのを見かけて衝動買い。

内容は著者いわく「そもそも新約聖書とは何なのか」という問いのうち、外面的な部分に答えるための「新約聖書概論序説」というようなもので、内容は以下の通り。

  • 第1章は新約聖書正典化の問題、つまりどのような文書がどのようにして、どのような意図のもとに「聖書」「正典」とされるにいたったのか。
  • 第2章は言語、つまり新約聖書はどういう言語で書かれているか。
  • 第3章は新約聖書の写本について。
  • 第4章は新約聖書の翻訳について、翻訳の歴史とかどの翻訳を読むべきかとか。

さすが田川建三で、内容的にはきわめて専門的で難しい内容であるにもかかわらず、文章はとても読みやすい。新約聖書ってそもそも何?という疑問を持つ読者にとっては良い「入門書」だと思う。それにしても税込み8,400円は高いが、索引・補遺まで含めると745ページもあるからしかたがない。745ページもある「入門書」もないもんだとは思うが、著者が「入門書」だと言っているんだからしょうがない。最初から読み進めても面白いが、適当なページを開いて拾い読みしても面白い。ただし田川建三を最初に読むのなら「イエスという男」の方がお勧め。

自分は読書は通勤電車の中での読書が中心なので、右手でつり革につかまって左手でこの分厚い本を支えていると、小指がつりそうになってくる。多少高くなっても良いから二分冊の方がありがたかった。そう言えばちょっと前にも小指がつりそうな本を読んだっけと考えたら、クリストフ・ヴォルフの「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ 学識ある音楽家」だった。

比較してみたところ「書物としての新約聖書」は8,400円で745ページ、さらに重さは1,100gで厚さ4.5cmなのに対して、ヴォルフの方は税込み7,875円で929ページ、重さ1,130gで厚さ5.5cmと、こちらの方が重量級だった。田川建三が1ページあたり11.3円、1gあたり7.6円、1cmあたり1,866.7円なのに対し、ヴォルフは1ページあたり8.5円、1gあたり7.0円、1cmあたり1,431.8円。

ちなみにアレステア・レナルズの「啓示空間」は1,470円、1,039ページ、530g、4.2cmといったところ。