2004-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『ある物語』(ISBN:4336045666)メモその1

P.103 "A Story", by John V. Marsch まず誰が書いた「物語」なのか。マーシュについてフル・ネームが出てくるのはこの部分だけなので、これが本当に地球から来た人類学者の名前なのか不明。後で出てくるように「ジョン」はアボの男の名前であり、"V" は数字…

ジーン・ウルフとJ.S.バッハ

「ケルベロス第五の首」にしても「アメリカの七夜」にしても、もちろん「新しい太陽の書」にしても、ジーン・ウルフのある一定以上の長さの作品はどれも、細部を気にすればするほど同じ物語に思えてくる。主題が三つか四つ、キャラクターが五、六人、それに…

「ケルベロス第五の首」関連リンク追加

離れ茶房の覚書

三位一体節後第12日曜のカンタータ

今日は三位一体節後第12日曜なので、該当するカンタータはBWV69a, 137, 35の三作品。 BWV69a*1 "Lobe den Herrn, meine Seele" 「わが魂よ、主を頌めまつれ」 1723年8月15日初演。ライプツィヒ時代のカンタータ第一年巻に属する。厳しい調子の曲が多いこの時…

「アメリカの七夜」メモその2

なかなか物語の構造が見えそうで見えてこない。困ったときはURTH mailing listである。過去ログをあれこれ検索していると期待通り面白い投稿がいくつかみつかった。 どうもキリスト教徒の読者には、この物語は復活祭とその直前の聖週間=受難節の話であるこ…

フリッツ・ヴェルナーのカンタータ選集

つい最近まで知らなかったのだが、フリッツ・ヴェルナー(Fritz Werner, 1898-1977)はカール・リヒターと並び称されるバッハ演奏の第一人者であったそうだ。リヒターと違ってなかなか録音が入手しにくい状況だったのが、今回、バッハの教会カンタータ55曲に…

「アメリカの七夜」メモその1

「ケルベロス」は終わりそうにもないので、こちらも忘れないようにメモしとく。どっちかというとこっちの方がはるかに「わからなく」書いてるし。あまり細かくメモるのも面倒なんで、時間の流れを中心に。 P.10 ナダンの母への報告書。ナダンがデラウェア湾…

アメリカの七夜

中篇「アメリカの七夜」浅倉久志訳 これは評判どおりウルフらしい良い作品。「ケルベロス第五の首」「V.R.T.」や「新しい太陽の書」と同じく「信頼できない」一人称話者の手記。鼎談で柳下氏が言っているように、ウルフは長めの作品の方がわかりやすい。これ…

祝SFマガジン2004年10月号「ジーン・ウルフ」特集

発売日を忘れないように会社の自分のアドレスにメール出して、そそくさと昼休みに買いに行きました。なんにしてもめでたい。とりあえず「アメリカの七夜」(まだ読んでない)以外の感想を。 短編「ラファイエット飛行中隊よ、きょうは休戦だ」酒井昭伸訳 ち…

「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその8

P.88 ハイヒールの婦人靴とグロテスクに長い足、尾骨の数センチ下まで垂れさがっている背中の大きく開いたドレス。むきだしになった襟足。リボンと髪飾りで積みあげ解き編んだ髪。 なんだか人間の描写とは思えない。アボ? P.88 ドアを閉じたとき、それと知…

無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータその2

レイチェル・ポッジャーの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」をCrotchetのオンライン通販で申し込んだ後に、amazonの方が安いことを発見。あわててCrotchetにオーダー・キャンセルのメールを送ったところ、Auto-replyで「スタッフが休暇中…

三位一体節後第11日曜のカンタータ

今日は三位一体節後第11日曜なので、該当するカンタータはBWV199, 179, 113の三作品。 BWV199 "Mein Herze schwimmt im Blut" 「わが心は血の海に漂う」 1713年8月27日初演。ヴァイマール時代*1に属するカンタータ初期作品。1911年になって発見されたもので…

無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

もう一冊いっしょに買ったのが "Works for Violin: The Complete Sonatas and Partitas Fpr Unaccompained Violin and the Six Sonates for Violin and Clavier"(ISBN:0486236838)というバッハのヴァイオリン作品の楽譜。収録作品は有名な「無伴奏ヴァイオリ…

デス博士の島その他の物語その2

遅れるのかと思ったら、なぜかちゃんと届いたので、翻訳であまりピンとこなかった表題作だけとりあえず読んでみた。二人称小説というのは、どうも日本語より英語で読んだ方がしっくり来るような気がする。この作品は二人称の話法と物語の主題とを関連させる…

「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその7

このペースじゃ一生終わらないなあ。 P.84 わたし自身の推測では――こんなに時間のたった今となって、どれほどの意味があるのかわからないが――喧嘩して私が刺したのだと信じていたのだろう。(中略)もちろん、それは失われた冬のあいだに何かわたしが言った…

デス博士の島その他の物語

どうも自分は「デス博士の島その他の物語」がちゃんと読めていないんじゃないかと思ってAmazonで注文していた "The Island of Doctor Death and Other Stories: And Other Stories" (ISBN:0312863543) が3-5週間遅れとのこと。在庫分が売れてしまったのか。

「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその6

P.73 彼らも幼児のときは人間だった(中略)が、外科手術(一部は脳にも手術を受ける)と薬物による内分泌系の変化で普通の人から変わってしまうのだ。 キャスドーを襲った獣化人(zoanthrop)ですね。 P.73 高価な赤い革張りの椅子の片方の肘かけのみ。 何…

RSSその後

結局要素がうまく解析できないんじゃなくて、単純な文法ミスだった。恥ずかしい。

リヒターのカンタータ第一巻

待降節からマリアの潔めの祝日までの第一巻を聴きおわった。ピリオド系に慣れた耳には、ぶあつい演奏やビブラートのきいた声に最初は少し違和感があったが、聴くうちにだんだん慣れてきた。ぶあついと言っても、カンタータなんで受難曲やミサ曲ほどは重々し…

最近の「ケルベロス第五の首」関連リンクなど

ケルベロス第五の首:勝手に広報部 ジーン・ウルフ - ReviewWiki (゜(○○)゜) プヒプヒ日記 チャチャヤン気分 とりあえず、ラファティ

単語の途中での改行

8/15の曲名言語表記などで、単語の途中で改行されてしまうのは何故? 例えば "Schauet doch und sehet, ob irgendein Schmerz sei" とか "Nimm von uns, Herr, du treuer Gott" とか "Herr, deine Augen sehen nach dem Glauben" とか。

RSS

本家サイトにも、はてなの見出しを表示するようにちょっとだけ更新。まとまった文章を書く体力が…。ところでキャッシュの秒数が設定通りになっていないような。あとRSSの要素がうまく表示できない。

「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその5

P.61 公園にある自然の円形劇場で夏のあいだ公演をおこなうことになっていた。 「新しい太陽の書」におけるタロス博士の「天地終末と創造」も野外で公演をおこなう。 P.61 フランス系の初期植民者たちの政治権力の喪失。 それにしてもなぜフランス系なのか?…

三位一体節後第10日曜のカンタータ

今日は三位一体節後第10日曜なので、該当するカンタータはBWV46, 101, 102の三作品。 BWV46 "Schauet doch und sehet, ob irgendein Schmerz sei"「考え見よ、われを襲いしこの痛みに」 1723年8月1日初演。ライプツィヒ時代*1のカンタータ第一年巻*2に属する…

バッハのカンタータと教会暦その2

ちなみに教会暦順に並べられたリヒターのカンタータ集の内容は以下の通り。 第一巻(CD4枚) 待降節用のカンタータ (BWV61, 132) 降誕節(クリスマス)、新年用のカンタータ (BWV63, 121, 64, 28, 171, 58) 顕現節用のカンタータ (BWV65, 124, 13, 111, 81) …

バッハのカンタータと教会暦

カール・リヒターのカンタータ集が届いた。リヒターが録音した75曲の教会カンタータを26枚組のセットにまとめたもの。当然モダン楽器による演奏。バッハのまとまったカンタータ集で言うと、ニコラウス・アーノンクール/グスタフ・レオンハルトの全集(オリ…

「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその4

P.55 少女は、次にわたしが公園を訪れたとき…「驚いた。ここに来るたびに探してたんだけど、一度も来なかったから」 「第五号」は明らかに嘘をついている。これは「第五号」の言葉を全て信じるべきでないとのヒントか? ウルフの一人称話者は基本的に嘘つき…

「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその3

P.41 わたしの幼年期が終わったのはこの冬だった。 「自分がある意味で正気を失っていることに初めて気づいたのは、この混乱の時期だった」−「拷問者の影」P.47 P.41 わたしの記憶には決して事実ではありえない光景がこびりついており。 アボとしての記憶? …

「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその2

P.30 太って角張った顔をした鈍重そうなお客。 これはさすがに誰だかわからない。 P.31 黒の女王、邪悪でもなく慈愛に満ちているわけでもないチェスの女王であり、黒なのはいまだ私が出会っていない白の女王と区別しなければならないからである。 鏡の国のア…

「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその1

結局二冊目買っちゃいました。この手の本はちょっとやそっとでは増刷されないだろうし、後で買いたいと思っても二度と入手できない可能性が高いし。これで心置きなく書き込みができます。というわけで、ラインマーカー片手に最初から読み直してみると、当然…