リヒターのカンタータ第一巻

待降節からマリアの潔めの祝日までの第一巻を聴きおわった。ピリオド系に慣れた耳には、ぶあつい演奏やビブラートのきいた声に最初は少し違和感があったが、聴くうちにだんだん慣れてきた。ぶあついと言っても、カンタータなんで受難曲やミサ曲ほどは重々しくはないし。

アリアやレチタティーヴォについては(ビブラートを除いては)問題なし。コラール部分については最近のたいていの演奏よりもリヒターの方が良いと思う。よく言われるキリスト教信仰を体現した、とかいったことではなく、大人数であまり声がとけあっていないようなところが、かえって会衆による賛美歌としてのコラールにあっていると思う。OVPP*1でのコラールは、テクニック的には良くてもあまりコラールに聞こえない。

一方、コラール以外の合唱はやはり重くてもっさりした印象。曲によるけど、上手なOVPPの方が好みだ。

それにしても、同じ曲を歌うのに、リヒターのミュンヘン・バッハ合唱団は120人もいて、ユングヘーネルのカントゥス・ケルンは最低4人しかいないというのもおもしろい。それで私の一番好きなカンタータのCDはカントゥス・ケルンの "Actus Tragicus"(ASIN:B0000CEWUU)*2だったりする。

*1:One Voice Per Part。通常バロックなどの宗教曲では、ソプラノ、アルト、テノール、バスの各声部に3-10名程度の歌手がおり、かつ独唱は別のソリストが歌うのが普通だが、OVPPでは各声部一人ずつの歌手がアリア独唱も合唱もコラールも全てこなす。

*2:BWV4, 106, 196, 12。