「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその1
結局二冊目買っちゃいました。この手の本はちょっとやそっとでは増刷されないだろうし、後で買いたいと思っても二度と入手できない可能性が高いし。これで心置きなく書き込みができます。
というわけで、ラインマーカー片手に最初から読み直してみると、当然と言うか、前回気がつかなかった伏線がやたら目につくんですね。それと同時に「新しい太陽の書」(ISBN:0312890176, ISBN:0312890184)やその他の作品との類似点も見えてきます。昨日の日記でもたまたま目についたページの疑問点を書き出しましたが、どうせなら最初から体系的に整理しておいた方が後々楽だろうと思うんで、もう一回最初の方から始めます。
- P.10 デイヴィッドは金髪、「わたし」は色白で茶色の髪に茶色の目。
- 各登場人物の目、髪、服装には要注意。
- P.10 父がおそらくは不変の存在として加わっていた階級。
- "the most permanent feature" という表現に注意。
- P.10 父はすでに秘密警察に多額の賄賂を強いられていた。
- なぜ? 売春宿を経営していたから? スパイ活動をおこなっていたこととはどういう関係か? 何に対するスパイ? クローニングあるいはその他の秘密の研究のため?
- P.11-12 わたしは思い出した…何かが、幼い頃の記憶にある動作のようなものが、欠けていた。
- 記憶の不確かさ。セヴェリアンの絶対記憶(と表裏一体の偽りの自己認識)。ラトロ(ISBN:0765302942)の記憶障害。プルースト?
- P.13 だがなんという記憶だろう!
- "but what memories!" どの記憶のことか?
- P.13 父の肩に止まっている方輪の猿。
- この猿には注意。
- P.13 黒いスカーフとその下の深紅のドレッシング・ガウン。
- この組合せは何かの象徴か? 悪魔?
- P.13 ピンク色の服を着た、とてもきれいだと思えた女性が身体を前にかがめて目線を合わせ
- この女性にも注意。この猿と女性は循環的な時間をあらわす? "The Urth of the New Sun"(ISBN:0312863942) によく似たシーンあり。
- P.16 『一マイルもある宇宙船』
- P.16 『月曜日あるいは火曜日』
- P.16 トロツキーの暗殺について書いた本。
- Bernard Wolfeらしいが、"The Great Prince Died" か "Trotsky Dead" か? あるいはこれらは同じ本か? 「暗殺」という以外に何か「ケルベロス」に関係があるのか?
- P.16 ヴァーナ−・ヴィンジの今にもボロボロに崩れそうな短編集。
- 「ケルベロス」が書かれた時点では、特に該当する短編集はないらしい。
- P.19 サント・アンヌはわたしたちの惑星の姉妹惑星であり。
- P.19 ここにはアボはいないから。
- この決め付けはあやしい。この部分以下の議論すべてあやしい。
- P.19 まず第一に、そもそも道具としてお粗末すぎて、アボがそれに頼って生活しなきゃならない理由がない…
- このあたり、アボの生態について妙に詳しい。
- P.20 重要なのは自分たちの魔法であり宗教であり、うたう歌であり民の伝統だ…木々と番い、河への捧げものとして我が子を沈めた。
- 「ある物語」参照。
- P.21 サント・アンヌの原住民が最初期の人類移民…移民の波の末裔であるかもしれないからです。
- 同上。
- P.21 アボが人間なのは絶滅しているから。
- ヴェールの仮説、ルェーヴの公理と比較。
- P.23 首が三つある鋼鉄の犬の像。
- ケルベロスは地獄・冥府の館の番犬で「入って来る者には特に吼え立てないが、出ていこうとすると烈しく吼えついて許さない」(呉茂一著「ギリシア神話上巻」336ページ)。ケルベロスの父親は「新しい太陽の書」にも登場するテュポーンで、母親は"Long Sun"シリーズ(ISBN:0312872917, ISBN:0312860722)にも登場するエキドナ。そう言えば「ケルベロス」という言葉は作中に出てこない?
- P.23 そのあだ名はわたしたちの名字にもかけられたものだったのかもしれない。
- 当然名字はWolfeでしょう。
- P.23 七歳のわたしの世界であり。
- この世界での一年はどのくらいの長さか?
- P.25 父は赤いドレッシング・ガウンと黒いスカーフといういちばん馴染んだ格好で。
- またこの服装。
- P.25 わたしのために他の名前が必要だ――二人のあいだだけの名前が。
- なぜ? 自分と同じ名前だから?
- P.26 おまえは第五号だ。
- どうやって数える? 初代は作者?
- P.26 父はスイッチを押した。
- 録音装置だが、似たような描写が何度も出てくる。現実と妄想との境?
- P.26 わたしよりずっと幼い少年と、ほとんどわたしと同じくらいの大きさの色塗りの木の兵隊があらわれた。
- 「拷問者の影」でセヴェリアンが見た夢を参照。この少年と木の兵隊は何者か?
- P.27 その人格がどういうわけかわたし自身と父親と混ざりあい、わたしは同時に観察者であり、観察対象であり、その両方を観察する第三者でもあった。
- P.28 それとも白い船がごくたまに、十本か十二本の紐で牛に牽かれてくるのを待っていた。
- 船のイメージについても頻出。