三位一体節後第11日曜のカンタータ

今日は三位一体節後第11日曜なので、該当するカンタータはBWV199, 179, 113の三作品。

  • BWV199 "Mein Herze schwimmt im Blut" 「わが心は血の海に漂う」
  • BWV179 "Siehe zu, daß deine Gottesfurcht nicht Heuchelei sei" 「心せよ、汝の敬神の偽りならざるかを」
    • 1723年8月8日初演。ライプツィヒ時代のカンタータ第一年巻に属する。BWV199とはうってかわって、偽善と高慢に対する警告を主題とした歌詞内容であり、バッハの曲もそれに則して峻厳なもの。ライプツィヒでのトーマスカントル*2就任にあたってバッハは「芝居がかっていない音楽」を作るよう市当局から求められており、それに従ったものと考えられる。実際この時期のライプツィヒでは、ルター正統派と敬虔派との宗教的・政治的緊張が高まっていた。もっともバッハはBWV179の初演と同じ日に、敬虔主義的な前述BWV199の再演をおこなっており、両者のバランスをとっているかのようだ。
    • 第1曲と第3曲はそれぞれBWV236「ミサ曲ト長調」の第1曲 "Kyrie" と第4曲 "Domine Deus" に、第5曲はBWV234「ミサ曲イ長調」の第4曲 "Qui tollis peccata mundi" に転用される。
    • 本日はカール・リヒター指揮、ミュンヘン・バッハ・オーケストラ演奏で聴きました。これはさすがに重々しい演奏です。

*1:1708-1717。

*2:ライプツィヒの聖トーマス教会付属学校の教師兼教会音楽監督。1723年から1750年の死までバッハはカントルを勤めた。同時にライプツィヒ市の音楽監督も兼ねていた要職だが、バッハ就任当時には政治的・宗教的に困難な時期にあり、また理想的な音楽環境を求めるバッハ自身の頑固な性向もあって、トーマスカントルとしてのバッハの職務は容易いものではなかったようだ。