「ケルベロス第五の首」(ISBN:4336045666)メモその4

  • P.55 少女は、次にわたしが公園を訪れたとき…「驚いた。ここに来るたびに探してたんだけど、一度も来なかったから」
    • 「第五号」は明らかに嘘をついている。これは「第五号」の言葉を全て信じるべきでないとのヒントか? ウルフの一人称話者は基本的に嘘つきだ。
  • P.57 何時間にもおよぶ父との面談のあと、空気が変化した。
    • 主人公の置かれた状況に起きた変化は?
  • P.59 わたしがシミュレートしている人物のことは、きみの曽祖父と呼びたまえ。
    • つまりクローニングを始めた初代から数えて「第五号」は四代目になる。たぶん作者であるジーン・ウルフから数えるのが正しい。
  • P.60 柵と壁と隠された掘割つまり隠れ垣…コリント式の列柱に囲われた石畳の庭。
    • どこにも行けないということか?
  • P.60 古いフランスの教会の床に敷かれているような墓標であり、すべてにわたしの名前と、それぞれ異なる日付が記されていた。
    • これもクローニングによる複数の自己を意味する。ところでサント・クロアに生まれ育った「第五号」はなぜ「古いフランスの教会の床に敷かれているような墓標」がどんなものか知っているのか? 単に知識として身につけたのか? フランス植民時代の名残でフランス風の教会が残っていることはありうるが、それにしても床に多くの墓標が残されているものか? 犬の館がとても古く見えることと関係あるのか? あるいはこの恒星系に植民されてからの時間は二百年よりもずっと長いのではないか?