バッハのカンタータと教会暦その2

ちなみに教会暦順に並べられたリヒターのカンタータ集の内容は以下の通り。

  • 第四巻(CD6枚)
    • 三位一体節用のカンタータ (BWV9, 187, 178, 45, 105, 102, 199, 179, 137, 33, 78, 17, 51, 100, 27, 8, 148)

正確にはBWV64なら「降誕節第3日用のカンタータ」、BWV111なら「顕現節第3日曜用のカンタータ」などとなる。三位一体節は2004年で言うと6月6日から11月28日の待降節第1主日の前まで続くので対象となるカンタータも多い。有名なBWV140「目覚めよとわれらに呼ばわる物見らの声」は「三位一体後第27日曜のためのカンタータ」となるが、三位一体節に含まれる日曜日の数は23から27まで幅があるため(ともに移動祝日*1である復活節*2待降節*3の日付によって異なる)、第27日曜まで三位一体節が続くことはまれである。少なくとも2004年を含めて過去5年間はBWV140を本来の祝日に演奏する機会はなかったようだ。

年間約60日ある教会暦の祝日に対して、現存するバッハの教会カンタータは200曲ほどなので、ある祝日に対して平均約3曲のカンタータが存在することになる(ちなみに実際には300曲程度のカンタータを作曲したとの説もある*4)。例えば「顕現節第3日曜用のカンタータ」なら、上に例を出したBWV111以外にもBWV72, 73, 156が該当する。一方カンタータが残っていない祝日もいくつかあり、例えば「顕現節第5日曜用のカンタータ」とかは今のところ見つかっていない。

*1:年によって日付の異なる祝日。

*2:春分の後の最初の満月の次の日曜が復活節。復活節後の第8日曜が三位一体節。

*3:クリスマスの4回前の日曜。

*4:バッハの死後1754年に次男カール・フィリップエマヌエル・バッハと弟子のヨハン・フリードリヒ・アグリコラが共著した『故人略伝』中に、父ヨーハン・ゼバスティアン・バッハが「(約60曲からなる)カンタータ年巻を五つ完成させた」との記述があるため。ただし『故人略伝』にはいろいろと誤りが多いらしい。