NEC EARLY MUSIC SERIES

今日は仕事を早々に切り上げて、オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)音楽監督兼指揮者、兼バッハ・コレギウム・ジャパンBCJ)主席チェロ奏者である鈴木秀美氏によるレクチャー・コンサート「オリジナル楽器で弾く古典派音楽」に行ってきた。これはNECによるメセナ活動 "NEC EARLY MUSIC SERIES" の一環で、通常はバロック音楽などを対象として取上げている同シリーズで古典派を初めて取上げたもの。

まず最初は鈴木氏による講演で、フランス・ブリュッヘンの「18世紀オーケストラ」やシギスヴァルト・クイケンの「ラ・プティット・バンド」での経験、日本に戻ってきて通常はBCJなどでバッハを中心とするバロック音楽を演奏しているが、ハイドンなど古典派もやりたくてOLCを結成したこと、実兄でありBCJを率いる鈴木雅明氏との関係(兄弟だからといって音楽に対する考えが必ずしも一致するわけじゃないんで、とても大変なんです)、「古臭い」と片付けられることの多いハイドンの音楽の革新性、ハイドンの生涯の簡単な紹介などが話された。

次に鈴木氏とともにOLC、BCJで活躍しているヴァイオリンの若松夏美さん、フルートの前田りり子さんを交えて、バロックから古典派にかけての楽器の構造および音色、演奏方法の変化などについて解説。特に前田さんはバロック・フルートからモダン・フルートまで5台のフルートを吹き比べてみせた(やはり通常使用しているバロック・フルートが一番上手だった)。

最後に、J.S.バッハ作「音楽の捧げもの」からトリオ・ソナタ(ただしチェンバロ抜き、1747年)、息子C.P.E.バッハソナタ(確か1755年)、それにハイドンの作品(1780年代と言っていたような)の触り部分を三人で演奏、バロックから古典派にかけての様式変化を実演してみせた。

自分は音楽もどうしても頭から入るタイプなので、このように音楽の背景などを話して実演してくれるのは大変おもしろかった。一方会場はとても音楽を演奏するような環境でなく、演奏開始前には三人ともちょっと苦労していた(チェロの弓など湿気でぼよぼよになっていたようだ)。当然音響も劣悪だったが、まあしかたないか。

それよりも講演の最初の40分ほど、のべつまくなしに耳障りなハウリング音がしており、鈴木氏も途方にくれてマイクをオフにしたり、会場の係の人に調べてもらったりしたがどうにも解決しない。しかたがないので予定を変更して早めに休憩を入れ、その間に調べようということになった。結局原因はわからないまま、それでも休憩後はハウリングが解消したのだが、私は見たのだ、休憩時間に会場最前列ほぼ中央に座っていた女性が、それまで堂々と床に置いてあったレコーダー(?)のスイッチをこっそりと切るのを。確証はないが、どうやっても消えなかったハウリングがそれ以降は嘘のようにおさまったことから、あの女のせいにまず間違いない。