バッハの新発見アリア

9/15はBCJの第70回定期演奏会。仕事はかなり忙しいにもかかわらず、冷たい目で見る部下の視線をちょっとだけ気にしながらいつものように新宿オペラシティへ。前回6/24の演奏会でコラール・カンタータのシリーズが終了したため、今回はちょっと目先を変えて合唱なしのソロ・カンタータを中心のプログラム。

一曲目は1726年の三位一体節後第12日曜日のためのアルト・カンタータ BWV 35 "Geist und Seele wird verwirret"「霊と魂は、惑い乱れます」で、ロビン・ブレイズのソロ。ロビンは一部声が引っかかっているようで万全でないように感じた。オブリガートとしてポジティフ・オルガンが二台用いられ、今井奈緒子と鈴木雅明が演奏。ちょっと鈴木氏のオルガンが前に出すぎていたような気がする。

二曲目は例の1730年の三位一体節後第15日曜日のためのソプラノ・カンタータ BWV 51 "Jauchzet Gott in allen Landen"「すべての国よ、神を誉め讃えよ」で、キャロリン・サンプソンのソロ。この人はテクニックはともかく、堂々として楽しそうに歌うので気持ちがいいですね。トランペットの島田俊雄も真っ赤になりながらがんばっていた。ところでキャロリン・サンプソンは肌のつやとか二の腕の感じからして、てっきり四十代だと思っていたが、プログラムのインタビューを読むとどうやらまだ三十代前半くらいらしい*1。失礼いたしました。

三曲目は今年の5月にヴァイマールで新発見されたばかりのソプラノ・アリアで、BWV 1127と番号がふられた "Alles mit Gott und nichts ohn Ihn"「神と共にすべての事に当り」。ただしこれは全部で12節あるうちの1、3、10、12節のみの演奏。愛らしい曲で悪くはないけれども、同じメロディを12節まで50分間聴くのはちょっとしんどいだろう。なんでも楽譜が世界中で公開されたのが9/4で、プログラム作成時点ではまだどんな曲やらわからなかったとか。それにもかかわらずガーディナーが早くも9/20にCDを発売するのはなぜ?

休憩を挟んで今井奈緒子のオルガンでBWV 534 「プレリュードとフーガ ヘ短調」のあと、バッハと同時代のナポリ派の作曲家ジョヴァンニ・パッティスタ・ペルゴレージの有名な「スターバト・マーテル」をバッハが編曲して詩篇51番に基づくドイツ語詩を付けたBWV 1083 "Tilge, Höchster, meine Sünden"「消してください、いと高き主よ、私の罪を」を、ソプラノとアルトの二重唱で演奏。この曲もちょっと聴くと印象的だし、名曲は名曲なんだろうけど、だんだん飽きてくる。もっともこれはペルゴレージの原曲の問題か。歌詞的にはやっぱり「スターバト・マーテル」の方がぴったりくるように思う。

*1:1995年にバーミンガム大学を卒業とのこと。