『ある物語』(ISBN:4336045666)メモその2

  • P.105 一年が長い<石転びの国>。
    • 原住民が書いたものなら「一年が長い」とはしないのでないか。
  • P.105 それは「男」を意味する言葉で、すべての男の子は「ジョン」と名付けられる。
    • 「ジョン」は匿名をあらわすものか。なおジョンあるいはヨハネはもとはヘブライ語で「神は慈悲深くあった」の意。
  • P.105 二人目の子は普通のようには生まれなかった。
    • 二人の子供は鏡像関係にある。
  • P.106 絹糸のように細い黒髪が、頭の後ろに黒い後光となって広がった。
    • 母親である<揺れる杉の枝>の髪は黒髪。「後光」は<揺れる杉の枝>が聖母であることを示すか。
  • P.106 すくいとって娘の足にかけた。
    • 素直に読むなら寒さで凍える娘の足を暖めたのだろうが、なにやら洗礼の秘蹟を思わせる。
  • P.106 そのように、わたしが生まれたとき、わたしの母もやった。そのように、おまえも自分の娘のためにやるだろう。
    • 父親の存在が欠けている。これは聖アンナが<無原罪の御宿り>で聖母マリアを受胎し、さらに聖母マリアがイエス処女懐胎したことを意味するようだ。これはクローニングの主題にも繋がる。
  • P.106 初子は死ぬ――か残らぬ。
    • "The first birth kills--or none." これは意味がわからない。
  • P.107 そこで揺れる杉の枝の母は流れに呑まれ、東風はその手から奪われた。
    • ここでは東風に何が起きたか意図的にわからなく書いている。